ブランコ。


「そうですね。確かに僕のやったことは矛盾してます……。だけど、先輩とはデートできません」


僕は自分の部屋に戻り、再び、窓際に腰掛ける。


「どうして? わかんない! 君が言ってること、全然わかんない!」



美穂さんは半ば叫ぶようにそう言った。

窓の外で、名前も知らない虫が、一瞬鳴くのをやめた。

受話器から漏れた怒鳴り声がそこまで聞こえたのだろうか?
 
僕は麦茶をコップにつぎ、乾いた口の中を湿らす程度飲んだ。

「すみません……。でも、どうしてそこまで美穂さんが怒られるんですか? それに、千秋さんだったら、他にも遊んでくれる人、沢山いるでしょ?」

「もういい!」



そう言って、美穂さんは電話を切った。

今日はこれで、二回も電話を切られたことになる。
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