ブランコ。

真夜中過ぎ。

窓から差し込む青い光に目が覚めた。

どういった気象のせいでこうなるのかは知らないが、まっすぐに差し込む光の元は、満月に近い月のせいだった。

一年に何度かこういう月を見る。

僕はそのたび、目を覚ますのだ。



時計を見る。

午前二時。

僕は自転車の鍵を手にし、家族を起さないようにそっと家を抜け出した。



僕が向かう先は、リエといつも待ち合わせするコンビニ。

まだ日中は盛夏とはいえ、さすがに夜の風は心地よかった。

寝静まった住宅街を、ただひとりペダルを漕ぐ。

チェーンにテンションがかかり『ギッ』という音だけが響く。
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