ブランコ。
僕と達也の出会いは幼稚園まで遡る。
当たり前のことだが、その時代は達也も『ヤンキー』ではなく、普通の鼻を垂れたガキだった。
そのころ幼稚園内における『ゆり組』と『ばら組』の抗争は激化するいっぽうで、その抗争に終止符を打ったのが、僕と達也の大喧嘩であった。
二人とも幼稚園児にあるまじきケガで、達也の額には、未だにその時のキズが残っている。
僕のほうは無傷だった。
それからは、よくある話で、僕と達也は仲良くなり、現在に到る……と言う訳だ。
『誰だって知っていた』と過去形なのは、今この町に達也はいないのだ。
物語に出てくる『ヤンキー』ならば、仁侠映画の高倉健のように、仁義に生き、堅気衆には手を出さない、なんて、カッコイイのだろうが、修行先の塗装屋で大事な商品である『アンパン』を毎日くすね、美味しくいただきすぎて、廃人になりかけた。
今は、県立病院に入院してる。
コンビニに着き、自転車を止める。
自動ドアをくぐり、防犯用の身長を表すテープで自分の背の低さを呪い、カウンターの前まで歩いていった。