ブランコ。
そう言うと、彼はあの笑顔でにっこりと笑った。
この話を聞いた直後は、他の同期入社のヤツラが笑いながら言うように、「結局、服従しろってこと?」という意見に賛成した。
三ヶ月の研修期間が終わり、配属先を見ると、あのニヤけ男のいる部署への配属となっており愕然とした。
これから先、あのニヤけた顔を見つづけるかと思うと辟易したし、あの笑顔は優柔不断から来るものだと、勝手に判断した。
だが、いざ配属されてみると、その考えは一変した。
課の先輩たちの表情や立ち振る舞いが、明らかに他の課の人間とは違うのだ。
具体的に説明するのは難しく、陳腐な表現になってしまうのだが、目が死んでないというか、生き生きとしていた。
会議なんかも激論というか、ほとんどケンカだった。
しかも、そのケンカも、相手の揚げ足を取るなどという幼稚なものではなくて、誰もが自分の意見に自信を持ち、自信があるが故に相手にぶつかっていくというものだった。
僕らは自身に満ち溢れ、毎日が楽しかった。ひとつひとつ問題点をクリアしていく楽しさ、みんなでひとつのことを考える一体感、素直に仕事が楽しいと思えた。