ブランコ。
13 片桐課長
「いや、いいんですよ。誰だって居眠りぐらいはする。ましてや若い頃はなぜだかすごく眠い。まあ、肯定してよいものではないのですけどね」
片桐課長はにこやかに、次の瞬間にはウインクが飛び出しそうな感じでそう言った。
「問題はその後です。まずA、視線を送るだけで起きる人間。次にB、咳払いやイスの音などの音で起きる人間。そして、最後にC、名前を呼ばないと起きない人間。君はどのタイプだったと思いますか?」
僕は出来ればAであったと思いたかった。
だけど、片桐課長の話というのは、いつも示唆に飛んでいて、僕はほとんど的を射ることが出来なかった。
だから、この時も少しズルをして、Bが答えであると片桐課長に告げた。