ブランコ。
「ブー! 違います。答えはAです」
片桐課長はクイズ番組のマネをして、嬉しそうにそう言った。
選んだ答えは外れたが、最初に思った人間に見られていて、少し嬉しかった。
だけど、次の瞬間、片桐課長は真面目な顔をしてこう言った。
「高梨君、嘘を言いましたね? あなたは最初、Aでありたいと思ったはずですね?」
「ははは……そうです……」
「どうして嘘をついたのですか?」
「そうですね……正解を言い当てたかったのかもしれません……。今まで、一度も当ったことがなかったものですから……」
「そうですか……。あなたは確かにAです。そして、Aのような人間があなたの味方になってくれる人間です。なぜだかわかりますか?」
「ええっと……。真面目……ということでしょうか?」
「いいえ。あなたは自分のことを真面目だと?」
笑いながら課長は問う。