ブランコ。
その課長が、このコンビニで働いていると教えてくれたのはリエだった。

最初、僕は半信半疑だったのだが、実際に夜、何度か訪れてみると、確かに課長は、このコンビニで働いていた。

「課長、実はですね・・・」

「高梨君、僕は課長ではないよ? 
時給千円、深夜二時から朝の五時までのアルバイトだ。
君たちの言葉で言えば、フリーターってやつかな?」

片桐課・・・、片桐さんは笑いながらそう言う。

「ははは。すみません。そうでしたね・・・」

僕はなんだか寂しくなった。

片桐さんとの関係が薄れていくような気がして。

僕にとっての片桐課長の『課長』は役職名ではない。

『片桐課長』という固有名詞なのだ。

僕の中でのニックネームなのだ。
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