下僕系男子
驚きのあまり、好きという言葉の意味を思い出すのに時間がかかる。
「お前、さっき慰謝料がどうたらとか言ってたよな」
「慰謝料……?」
袖口で涙を拭いながら、みやびは首をかしげた。
女の私よりかわいいじゃないか、と少々苛立ちを覚えたが、まずは話が拗れることを避けよう。
「それは勘違い!あははっ」
「笑えばどうにかなると思ってんだろ」
そんなことは一ミリも思っていない。
とんだ勘違いをしていた自分に呆れてこぼれた虚しい笑いだ。
「いやー、勘違いでよかった。じゃあ授業も始まるし席に戻ろう」
正直疲れてしまった。
身体的にも精神的にも、一日でこれほどダメージを受けたことは記憶にない。
席に戻ろうとしたが、みやびに呼び止められる。
「すみません。わかりきってることなんですけど……」