堕天使のお気に入り。
幼い焔は柔らかく、
懐かしい匂いがした。
胸に抱くと、
泣きながらしがみついてくる。
幾晩も繰り返すうちに、
焔のもとに行けない夜は、
どうしているだろうかと
気になって仕方がなかった。
少し大きくなり、
添い寝が必要なくなった頃、
胸にぽっかりと
穴が空いたような感覚がした。
思春期を迎えた焔は、
痩せてはいるが、
丸みを帯びた体つきに変化し、
わたしは言い寄る男たちを
蹴散らすのに力を使った。