あおいろころん。


「あ、あの!私達降りるのここなんで降りれますよ!」

「そう、なら降りおっか。…君大丈夫?」

こきざみに震える雪菜に優しく青年は言葉をかけた。

「可菜ちゃん…っ」

「大丈夫だから。私がそばにいるから…」

「うん…。」

やっぱ、怖かったよね…雪菜にこんな思いさせたこのおじさんには嫌な感情しかもてないよっ。
雪菜が味わったこの恐怖、私が取り除いてあげたら…どんなにいいか…。



私と雪菜と青年とおじさんは駅に着いたらすぐに降りた。
電車の中にいた乗員客は、わたし達のことを好奇の目でこちらを見ていた。


「(なんか…やな感じ。)」

「少しのあいだだけど、我慢してて…」

「え、あ、はい…。」

この青年…私達のこと気にかけてくれてるのかな?
世の中にもこんな良い人がいるんだなぁ-。


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その後、私達は駅員さんに事情を話し、男を駅員に託した。


「可菜ちゃんっっ怖かったよぉ~」

「大丈夫?雪菜。怖いのに頑張ったね、えらいえらい。」

抱きついてきた雪菜の、位置の低い頭を安心させるようにそっと撫でた。

「あ、そういえば、さっきはありがとうございました」

「ん?いや、いいよ。助けるのが男ってもんだしな。」

青年はニカッと、爽やかにはにかんだ。

「あ!!名乗り遅れてました!私は楠 可菜です。んで、こっちが…」

「宮田雪菜…。」


「俺は紀田 裕也。」

きのだ…ゆうや…。


「いま、手持ちがあまりないので…今度、お礼します。またあったら宜しくお願いします!」

「お礼とか別にいいのに…汗」

「雪菜、お礼したい。助けてもらったし…」

お?人見知りの雪菜が…なんか…積極的…?
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