星想い
屋上につくと、珍しくいつもは見える
後ろ姿がなかった。
そこまで広い屋上じゃないから、
居るならすぐにわかるのに。
…遅れているだけだろうか。
知らず知らずのうちにカイの姿を探し、
はぁっとため息を吐いて奥に歩んだ。
ドサリと通学カバンを落として、
コンクリートの地面にいつものように
腰を下ろす。
膝を抱えて遠い空を見やった。
頭上は濃い茜色。
遠方は淡い茜色。
夕陽が雲と山の向こう側に
沈んでいくのを眺めながら、
カイの声がするのを待った。