星想い



…カイの声が、耳に届いた。


「俺、モテてんのかなー。

どっちにしろ、自分が好きな奴としか

付き合いたくねえけど」



「あー…そう。

私は特に付き合う気もない」



…そもそもモテないし。



カイに聞こえないように

独り言を呟いて、夕星に目を向ける。



…キラキラと、輝いていた。



「…星を捕まえる、か」



「え?」



「…別に」



…紺に濡れる一番星をみると、

思い出す。



「星を捕まえる」が口癖だった

父親の、ことを。



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