星想い



慌てて首を振り、言い訳をする。



「…なんでもない。

ちょっと疲れてるだけ」



「そっか。いや、怖い顔で

どっかをめちゃくちゃ睨んでたから…」



…父親は、今も昔も変わらず、

私の中ではうっとうしい存在。



カイに視線をやると、口角を上げて、

照り輝く金星を見つめていた。



カイはいつでも笑みを絶やさないな…。



ゆくりなく、そう感じた。



私もつられて、空をみる。



少し欠けた月が、ぼんやりと浮かぶ。



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