星想い
…今日は、帰ろう。
なぜかわからないけど、
無性に帰りたい気持ちになって
私は口を開く。
「…私、帰るから」
「あ、そう?んじゃ俺は…んー、
もうちょっとここにいる」
「…じゃあ、また」
「んー」
通学カバンを持ち上げて肩にかけると、
扉に向かった。
木枯らしに混じる冷風に流れて、
カイの鼻歌が聞き取れた。
「〜♫〜♫」
キィィときしむ扉を右手で押し開けて
1度 振り向いた。
私が大嫌いなはずの空想野郎が1人、
紺色の屋上で夜空を見上げている。