星想い



非常階段を、

いつもよりほんのちょっと早足で登る。



…教室でのことは日常茶飯事で、

普段なら気にならないのに。



…なぜか、今日に限って

『母子家庭』という響きが、

私の胸をチクチクと刺した。



空はすでに茜に染まり、

燃えるような入り日が

雲にかすんでいた。



空に細やかなフィルターをかけたように

一面を覆う雲。



非常階段を登って、空を目指す。



――やがて、扉の前についた。



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