星想い




「千咲希、ずっと現実ばっか見てて、

疲れねえの?」



「え?」



…不意に問いを投げかけられて、

耳を塞ぐのも忘れ、カイに目をやった。



カイがいつになく憂いを帯びた表情で、

暮靄がかかった薄月を、見上げていた。



「…いや。疲れない?

ずーっと、現実 見てるのって。

少しくらい、空を見たって、

いいんじゃねえの?」



「…イミ、わからない」



なに、空を見るって。



空想をしろってこと?



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