星想い



冷たい風が吹く。



ぼんやりと月の光が屋上に差す。



空にひとりぼっちで月明かりを放つ、

見事な薄月。



カイなら、この薄月を、

なんと例えて私を呆れさせるんだろう。






夜空に一輪 咲いた、白い、桜の花。






考えた瞬間、ふと、もやがかかった月が

白い桜の花の、花弁に見えて。



「…桜の花」



…これが、カイの言っていた、空想?



桜の花が、この時期、

夜空になんて咲くわけがないのに?



…バカバカしい。



変な、無意味なことを考えるのは

やめよう。



無理やり心を鎮めて、

もう帰ろうと通学カバンに手をかけた。



< 139 / 300 >

この作品をシェア

pagetop