星想い
冷たい風が吹く。
ぼんやりと月の光が屋上に差す。
空にひとりぼっちで月明かりを放つ、
見事な薄月。
カイなら、この薄月を、
なんと例えて私を呆れさせるんだろう。
夜空に一輪 咲いた、白い、桜の花。
考えた瞬間、ふと、もやがかかった月が
白い桜の花の、花弁に見えて。
「…桜の花」
…これが、カイの言っていた、空想?
桜の花が、この時期、
夜空になんて咲くわけがないのに?
…バカバカしい。
変な、無意味なことを考えるのは
やめよう。
無理やり心を鎮めて、
もう帰ろうと通学カバンに手をかけた。