星想い
…バカバカしいこと、この上ない。
いつもカイのことを否定しておいて、
なにバカなことを考えてるんだろう、
わたし。
カイに影響されすぎ…。
非常階段に繋がる扉をきしませながら、
私は屋上をあとにした。
簡易非常階段をおりながら、
夜景を見下ろす。
夜景は、夜景。
カイの言うように、光の泉だったり、
街灯りの宝石だったり、
花火のようには見えない。
空の月に、視線を移す。
やっぱり、朧月は、朧月のままで、
それ以上でもそれ以下でもない。
でも本当に、ほんの一瞬だけ、
私には…桜の花に、見えたんだ。