星想い
お母さんが、「もしかしたら…」と、
なおも言葉を紡いでいく。
「もう、千咲希は
覚えていないかもしれない。
お父さんのこと、覚えてる?
お父さん、
すごく優しい人だったんだけどなぁ」
…覚えてる。
鮮明に。
空想をしていた、
飲んだくれの姿だけなら。
…そんな記憶しか呼び起こせない事に、
なんでだか、寂しさを感じた。
お母さんのいう、優しい父親なんて、
覚えていないよ。
“星を捕まえる” なんてほざいていた、
バカな父親しか…。