星想い
「…千咲希は、自分の名前の意味を、
知ってるかな?
お父さんが、名前をつけたんだよ」
…名前の、意味?
なんだろう、それ…。
初めて、聞く話。
声が出せない代わりに、
お母さんの声に耳を傾ける。
…お母さんは、少し間をあけて、
教えてくれた。
私の、名前の意味を。
「希望の花が、
千々に咲き誇りますように。
そんな意味で、つけてくれたんだよ」
暗い部屋。
まだ夜明け前なのに、
なぜか、なんでか。
部屋がほんのりと、
明るくなったような、錯覚に陥った。