星想い



…永らく行っていなかった

屋上に寄ろう。



なんとなく、独特な空気が漂う

あの場所が懐かしく思えて、

方向を変える。



商店街の奥に見える高いマンションへと

足を進めた。



…北風が、

だんだんと強くなっていくのを感じた。



裏通りに入って、

人通りの少ない道に出て、ここからは、

いつも通っていた道と同じ。



仄かに、暗い。



マンションを見上げる。



入学当初からたまに

通っていたマンションの屋上。



見つかったことは、この1年と半年、

1回もなくて。



だからあの日、

いつものように階段をのぼった先に

カイがいて、私はすごく驚いたんだ。



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