星想い
段差に足をかけて。
カツン、カツン、と20年くらい
聞いてないような音が響く。
私のローファーが音を鳴らした。
やがて、屋上についた。
格子に歩み寄り、扉を開けようと
手をかける。
――キィイ、と、とても、
耳に慣れた音が屋上に広がって。
閉鎖空間の奥に視線をやった私は、
目を見張った。
黒く、無造作な短髪が、
風に揺れていた。
黒い学ランを着た後ろ姿は、
足を伸ばして、座っていた。
息を飲む。
心臓が、跳ね上がった。
うそ、どうしてここに。