星想い



どうしてなのかはわからない、けど…。



なぜか、無性に、カイに…

私の大嫌いな父親の話を

してみたくなった。



空想好きなカイは、

どんな反応をするんだろう。



空想ばかりしていても仕方がない。



ずっとそう思っていたけれど、

カイと出会って、少しずつ、

嫌悪感は薄れていった。



…空想は、

現実逃避の塊だけじゃないって

知ったから。



カイの空想に、

どこか救われている私に、

気づいたから。



「…ねぇ、カイ、聞いてくれる?」



「なにを?」



「…私の話と、父親の話。

 遅くなるかもしれないけど…いい?」



カイは黙ったまま、頷いた。



一面の夜景と、夕空を、眺めながら。



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