星想い



カイが相槌を打つ。



「千咲希も、空想が好きだったんだ。

前、言ってたよな。

父親は夢を見るのが好きだったって」



「…うん。大好きだったみたいで」



たくさんの空想を聞かされた記憶が、

朧げながらある。



「土星に着陸するとか、

ユーリガガーリンの話とか、

よく聞いた。



父親の絵空事の舞台は、

宇宙が多かったな」



「…だから千咲希は、

宇宙に詳しかったんだな」



返事をする代わりに、首を縦に振った。



冷たい風の音だけが耳に届く。



12月の半ば。



寒いけど、寒くない。



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