星想い



「だけど…父親は、不況である日、

リストラされて。

その日から多分、だんだん父親のこと、

嫌いになったんだと思う」



父親の、少し汚れている、

くたびれた作業服。



顔は覚えていないのに、どこがどう

汚れていたのか、

とてもよく頭に残っている。



カイは何も言わず、空を仰いでいた。



「元々、お酒は好きだったみたい…

クビになって拍車がかかって…

いつも飲んだくれてた。

そんな父親が、大嫌いだった」



カイは気づいているのだろうか。



私が過去形で話していること。



…多分、気づいているのだろう。



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