星想い



…酒を飲んでいた父親が、

強く頭の中に焼きついている。



「…1度、父親にね、千咲希は俺のこと

好きかって、訊かれたことがある。

…大嫌いって、答えた」



空に視線を投げる。



赤、白、青にまたたく星が、

さっきよりも増えていた。



地上では、車が走っているのか、

光が動いている。



「口を開けば、バカな空想ばっかり。

…その頃からかな。

…空想なんて現実逃避の塊だって

考え始めた」



カイは、口を挟まず、

無表情で視界に空を映していた。



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