星想い
「俺…千咲希の父親の気持ち、
すっごいわかるような気がするんだ。
…俺も。
現実逃避ばかりしていたから」
「…え?」
カイも?
その言葉が突いて出そうになって、
慌てて口を閉じる。
カイの横顔は、
どこか憂いを帯びていた。
カイはその青い瞳で、
貴石が散りばめられた星空だけを、
見つめていた。
「…つまらない話だけど」
カイは、独り言を漏らすように、
言葉を紡いだ。
「俺の両親、
5歳ん時に交通事故で死んだんだよ。
…信号無視でトラックが
突っ込んできたのを、よく覚えてる。
後部座席の隣に座ってた母親が、
俺をかばって死んだ」
「…」
カイが紡いだ言葉は、
カイの、過去だった。