星想い



「…俺の場合、ダメになる寸前で

引き止められたって感じ。

今は前向きになるために、空想してる。

空想してるのって、楽しいからな。



…はい、独り言、終わり」



カイは最後、おどけたような口調で

話しを終えた。



青い瞳の訳。



空想が癖になった訳を知って、

可哀想だとは思えなかった。



自分と重なってしまったから。



「…『幸せな家庭に生まれて』とか

言って、本当に…ごめん」



「…別に気にしてねえし、いいよ。

幸せな家庭に生まれて、

育てられたのは事実だしさ」



一番星は、

いつの間にか星空の中に消えていた。



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