星想い



5階。



6階。



階が上がるにつれて、

眺められる街並みはちょっとずつ

広がっていく。



足を止めたりはしない。



早く屋上につきたかった。



――やがて、屋上。



格子が見えてくる。



…久しぶり。



懐かしい思いと、様々な感情が

溢れて出てきそうになるのを我慢して、

ひたすら登った。



…階段を登り終えた、先。



軋む扉を、開ける――。






屋上には、人影は、1つもなかった。






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