星想い
もうしばらくここに居たい。
通学カバンを肩から外すと、
ごろりと地面に寝っ転がって、
青い空だけを視界いっぱいにおさめた。
「…あの日みたい」
冷たい風が、屋上を通り抜けていく。
…カイとはもう、会えないのかな。
ふと、カイの憂いを帯びた横顔が
頭をかすめた。
眠くなってきて、目をつぶった時。
キィイ、と扉が軋んだ音が聞こえて。
「…あ、千咲希!久しぶり!
うわ、1年ぶりだよな!」
あの、耳あたりのいい声が聞こえて。
目が冴えて、慌てて起き上がって
扉の方に視線をやる――。
…変わっていない、
カイが、そこに、立っていた。