星想い
「…じゃあ、そろそろ帰るわ。
俺は勉強しないとな」
「あ、じゃあ私も」
カイと並んで格子の扉を閉めると、
また、軋んだ音が屋上に木霊した。
勉強のことを話しながら、
1段1段、2人で階段をおりていく。
やがて地上に着くと、
道路に出て手を振った。
地上は少し、薄暗い。
「じゃあ、いつか…またね」
「うん。じゃあな!」
カイは、私とは正反対の道を、
歩いていく。
私も、歩き出す。
ふと空を見上げると、
涙のような一番星が、輝いていた――。