星想い



「…じゃあ、そろそろ帰るわ。

俺は勉強しないとな」



「あ、じゃあ私も」



カイと並んで格子の扉を閉めると、

また、軋んだ音が屋上に木霊した。



勉強のことを話しながら、

1段1段、2人で階段をおりていく。



やがて地上に着くと、

道路に出て手を振った。



地上は少し、薄暗い。



「じゃあ、いつか…またね」



「うん。じゃあな!」



カイは、私とは正反対の道を、

歩いていく。



私も、歩き出す。









ふと空を見上げると、

涙のような一番星が、輝いていた――。









< 298 / 300 >

この作品をシェア

pagetop