星想い



「…中間テストで、

勉強が忙しかったから」



嘘でも、本当でもない言葉。



だけど、カイは疑うこともなく

いつものように気の抜ける笑顔をつくり

ふにゃりと笑った。



「そうか。俺もあった」



…なんだか、罪悪感を感じる。



そんな気持ちを無視して、

「屋上に行くから、登って」と、

いつまでも目の前に立ちふさがるカイを

促した。



カイがあぁ、ごめんと頭を掻いて

非常階段を上がって行く。



きしむ格子の扉を開けると、

閉ざされた空間が広がる。



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