星想い



カイが地面に置いた通学カバンを拾い、

屋上の奥まで歩いて行く。



若干 居心地の悪さを気にして、

私もカイのあとに着いていった。



奥まで行くと、今日も遠くまで続く

空と街とが見渡せた。



やっぱりここは、私の知る

どの場所よりも見晴らしがいい。



…キレイだ。



空と街の境界線を見つめて

ぼんやり立っていると、

隣から1週間前と変わらず

聞き心地の良い声がした。



「なー、千咲希ってどこ通ってんの?」



高校、のことだろうか。



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