星想い



「…言葉で説明すんのは難しいけど」



カイが、空に向けた人差し指を

くるくると小さな輪を描くように

回した。



「俺には、あの雲が、

白い鳥の羽みたいに見えてる」



「…は?」



…羽?…雲が?



カイは話の初めから

ついていけない私を置いて、指先で

紅葉して赤く染まった山を指した。



「あの山は、

熱くない火で燃えてるように見えるし」



…頭が痛くなってきた。



だけど、話を振ったのは私だから、

我慢してカイの声に耳を傾ける…。



「街の灯りは、

宝石を散りばめたように見える…」



…もう、いい。



< 91 / 300 >

この作品をシェア

pagetop