星想い
「…想像を広げて夢をみたところで、
無意味なだけじゃん」
カイの誘いをキッパリと断って、
私は陰鬱とした曇り空を見上げる。
雲は雲だし、山は山。
街灯りはただの夜景であって、
それ以上でもそれ以下でもない。
それを無理やり別のものに変えて
キレイにしたところで、
なにが変わるのか、教えてほしい。
…空想なんて、無駄だ。
「…そうか。
まぁ、千咲希の自由だけどな」
ハハッとカイが笑うのを聞き流して、
だんだんと濃くなっていく影を感じた。
曇りの日の屋上は、
茜から紺へと移り変わるんじゃなくて、
ゆっくりと、闇に浸食されていく。