雨の降る夜に
するといきなり携帯がピー、ピー、と鳴りだした。

健二はこの耳障りな音を覚えている。
電池の残量が少ないのだ。
「健二、だいじ・・・か?・・かあ・・た・・・か?」

電波が悪いのかと思い、画面を見てみると、アンテナが1本しか立っていない。
最悪だ。急いで話さなければ。

「武弘、ちょっとやばいんだ!助けてくれ!!」

プツッ、ツー、ツー、ツー、ツー。

切れてしまった。
頼みの綱が断ち切られた。
この先オレは犯罪者扱いされるだろう。周囲に怯えながら生活しなければならなくなるのだろう。
そう思うと健二の手からは力が抜け、だらんと垂れた。

そして膝から崩れ落ち、しばらくその場で泣き続けた・・・・・
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