雨の降る夜に
健二の席は最後列の窓際にある。その前の席に武弘が座っているのだ。

武弘は体をこちらに向け話し掛けていた。

「えっ、何のこと?」

健二は訳が分からず問い返す。

「おまえ、教頭の話聞いてなかったな。」

そう言って少し笑うと、

「うちのクラスに転校生が来るって言ってたじゃねえか。」

「どんなやつだ?」

「さあ、まだどんなのかは聞いてねえ。でもこんな時に来るなんておかしな奴だよな。夏休み前だぜ。」

確かに、言われてみれば。今日は終業式で、明日からは楽しい夏休みだ。

どうせなら2学期から来ればいいのに・・・・・。

ガラガラッ。

教室の扉が開く音がした。
担任の小坂が入ってきた。
小坂はこの学校には珍しい、女性の教師だ。
眼鏡をかけていて、いかにも現国を担当していそうな風貌。

ただ性格が適当なのはどうなんだろうか・・・。
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