雨の降る夜に
そして面倒見が良いのは誰もが知っている。
オレの最も親しみやすい教師。最も信頼している教師。

「はーい、みんな席に着いてー。」

その声でみんなが席に戻っていく。

「じゃあみんな知ってるだろうけど、転校生が来たから紹介するわ。入ってきてー。」

みんなが扉に視線を向けている。オレもその一人だ。
転校生が入ってきた。

オレの転校生への第一印象は、かっこいい。
髪は長く、肩から10センチのところまで伸びている。
顔も美形で、180は超えているだろう身長は黒板の前に立つと余計際立つ。

転校生は立ち止まると、自己紹介をした。

「初めまして、松浦一樹です。宜しく。」

素っ気ない自己紹介だったが、一応みんな拍手をした。

「えー、みんな、仲良くするように。じゃあ、とりあえず空いてる席に座ってもらうか。おっ、健二の隣空いてるじゃん。」

健二は隣の席を見てみる。
確かに席は空いているが、ここは翔吾の席のはずだ。
それを小坂に伝えると、意外な答えが返ってきた。

「ああ、斎藤ね。あいつなら今日転校したよ。」

転校?
そんなの聞いてないぞ。
翔吾のやつ、なんで一言も言わずに行っちまったんだ!
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