雨の降る夜に

濡れ衣

7月23日、月曜日。

この日はいつもの3人に松浦を加えたメンバーで遊ぶことにしていた。

既に約束の時間を30分も過ぎている。

「あ〜、遅い!!」

健二はぼやいた。

洋平だけがまだ待ち合わせ場所に来ていない。

健二がいらいらし始めた頃、遠くに洋平の姿が見えた。

「ごめーん、電車が遅れた〜。」

また見え透いた嘘をと思ったが、叱る気にもなれなかった。

「もういいから、早く行こうぜ。」

武弘は早口に言って、ゲームセンターに入っていった。

「うわあ、すげ〜。」

さすがに夏休みの始めということもあって、中は人で混雑している。

「お前が遅れるから〜。」
健二はわざと尖った言い方をした。
何回言っても反省しないからな、洋平のやつ。

「とりあえず中入ろうぜ〜。」

そうだな、と返し、人混みを掻き分けながら進んでいく4人。

「うわあっ!!」

誰かがそう叫んだ。

きゃあ、と言って周りの若者たちが勢い良く後ずさる。

ちょうど健二と倒れた男だけが人混みの円の中に取り残された。

健二は周りを見回し、倒れた男を見やる。
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