雨の降る夜に
「お前なのか?」

健二は心底驚いた。

沈黙が続く。

そして沈黙を破るように松浦が口を開いた。

「はあ〜、こんなに早くにバレるとはな。」

「どういうことだ?」

健二が問う。

「実はオレは警察に雇われた身なんだ。」


「えっ?」


健二は思わず大きな声をあげてしまった。


「ちょっと待てよ、わけわかんねえ。」


「そうだろうな。」


松浦は一つ大きく息を吐くと、

「オレはある事件の捜査を依頼された。」


「ある事件?」


「そうだ。先月の22日、長谷部総合病院で殺人事件があった。被害者の身元はまだわかっていない。公式には発表されてないがな。」

長谷部総合病院?!

先週オレが入り込んだ病院の名前じゃないか!!


「それと先週健二が遭遇した事件と何か関係があるのか?」


鋭い指摘に松浦もうんうんと頷く。


「その通りだ。先月の事件と先週の事件の犯人は同一人物であると考えている。」


「そしてその犯人は・・・?」


洋平が身を乗り出す。

「それはお前らもよく知っているぞ。」


えっ?

オレの知り合いに殺人犯が?


「斎藤翔吾だ。」
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