雨の降る夜に
ほんとに翔吾がオレを・・・・・

そう思うと遣り切れない気持ちになった。

あいつ、我が強いところはあったが、他人を思いやる気持ちだけは忘れないやつだった。

曲がった事も大嫌いだった。

なのになんで・・・・・。


「なあ、二人とも。」


武弘は眉間に皺を寄せている。


「あいつが言ってる事が本当だとしたら、今日の事件も翔吾が起こしたって事になる。」


「まあ、そうだな。」


「じゃあ、2人とも翔吾の姿を見たか?」


「いいや、見てねえな。」

「健二のポケットにナイフを入れたのも翔吾。だったらうちらのすぐ隣まで来てたはずだ。それでも気付かないか?」


「確かに・・・・。」


「それにナイフがポケットに入ってるかなんて遠くから見たんじゃ分からない。でもあの声は翔吾のじゃなかった。」


淡々と語る武弘。


「何が言いたいんだ、武弘?」


健二が問う。


「オレはこう言いたいんだ。松浦は本当に警察に雇われたのか?高校生が?」


「じゃあ、松浦が全ての事件に関わっていると?」
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