好きになったらダメなのに。


でも


次に目を覚ました時、お兄ちゃんは自分に関わる人たちの記憶全てを失っていた。



その姿は、まるでわたし達に怯える人形のようで。



あの事故から約三ヶ月がたった今でも、お兄ちゃんは何一つ記憶を取り戻していない。



そして、私はあの日見てしまった。


お兄ちゃんを苦しめた女教授が、楽しそうにどこかの男と歩いているところを。



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