キミへの想いを10文字で。
恐る恐る翔琉を見ても、普段と変わった様子は見られない。


あんな話を聞いていたのなら(特にお姉ちゃんの昔の恋心の部分)平常心でいられないもんね。


「あらー、翔琉君じゃない」


ひょこ、とあたしの後ろからお姉ちゃんが顔を出す気配がして。

……そうか。

あたしの後ろにすっぽり隠れて、様子が見えなかったのね。


「結実ちゃん、風邪引くぞ」


そっと様子を伺ったけど、お姉ちゃんを見ても動じない翔琉。


……よかった。

この様子なら、多分聞かれてない。


心の中で安堵のため息をついてみる。


……いや、だけど。もしも翔琉がその事を知ったらどうする?


考え込むあたしをよそに、翔琉が


「なーとりあえず課題だけ見して」


……だからもう、本当にあんたって人は。
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