黒色女子を個人授業
確かに、寝具は赤だし、カーテンは花柄だし、普段の私を見ている人からは想像がつかないインテリアだろう。

「家具と身に付けるものは違うんです」

私が恥ずかしさにうつむいていると「素直じゃないね」と彼が小さく笑っているのがわかった。


私だって可愛いものは好きだし、赤やピンクを選びたい気持ちはある。

でも好きなものと似合うものは違うじゃないか。

部屋の中では好き勝手に可愛いものを並べることができても、他人の目に触れるところではそうはいかない。

洋服とか、小物とか、髪型とか、可愛いものを身につけて、あんたなんかに似合わない、だなんて思われたくないじゃない。

もしも花みたいに可愛らしかったら、きっと素直になれたのだろうけれど。

生憎、私はこの程度だ。


食事が終わったあとも、彼はぬいぐるみでポフポフと遊んでいるから、なんだか辱められてるような気分だった。

彼は私が嫌がるのを楽しんでいるらしい。

「もう恥ずかしいからやめてください……」と懇願すると「ほら、病人はおとなしく寝てなさい」と最もなことを言ってごまかした。

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