黒色女子を個人授業
家から5分程度の場所に土曜日でも診療可能な病院を見つけた。
大城さんは大袈裟にタクシーを呼ぶなんて言い出したけれど、直接行った方が早いからと言って断った。
彼を先に家から追い出して、私は簡単な外出着に着替えたあと、バッグを持って外へ出た。
「準備できました」
「行こうか」
玄関の前で待っていた大城さんは、そう言って手を差し出した。
……手?
私は胸の前に差し出された手のひらと彼の顔を交互に見比べた。
何ですかこの手は。
「……はい?」
よく分からないまま、私は思わず手に持っていた部屋の鍵を手のひらの上に置いた。
「えーっと、そうじゃなくて」彼は困った顔で鍵を受け取ったあと
「手、貸してください」そういって強引に私の手を取って歩き出した。