黒色女子を個人授業
「っ! な、なんですかっ……」

「また倒れるといけないでしょう?」

大城さんはどうってことないとでも言うように平然と手を繋いで歩く。


どうしてこの人はこんなに事も無げに触れてくるのだろう。

それとも私が男慣れしていないからいけないの?


「あの、だいじょうぶですから!」

私はあまりの恥ずかしさに耐えきれなくなって、手を振り払った。

顔を赤くしてうつむく私を見て、仕方がないと諦めたのだろうか、大城さんは小さなため息を漏らした。

「じゃあせめて」

そう言って彼は私の肩にかかっていたバッグを引き取った。


あまりに優しくされると怖くなってしまう。

素直に喜んでいると、そのうち突き落とされるんじゃないかなんて、そんな恐怖を感じてしまう。

幸せなのって、慣れてない。
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