黒色女子を個人授業
「酒井くん!?」

後ろからパタパタと駆けつけてきた天野が驚きの声を上げ、しまったという顔をした。


ヤバイ。

これは完全にアウトだろ。


俺はパニックになりながらも必死に現在の状況を整理する。


つまり、この状況は、アレだろ。そーゆーことなんだろ。

……言い逃れようがないよな。


あ、でも俺は別に天野と付き合ってる訳でもないし、家で別の男と鉢合わせしようが、何の問題もないわけで……


てことは……

うわー、俺、ただ単に邪魔者じゃん……



もはや一刻も早く立ち去りたい。俺は必死に言い訳を考える。

「花山に頼まれて、様子見にきたんだけど、なんだ、元気そうで安心したよ」

空笑いでまくしたてながら、それじゃあ、と踵を返した俺に「待って」と声をかけたのは

天野じゃなくて、大城さんだった。
< 160 / 510 >

この作品をシェア

pagetop