黒色女子を個人授業

「僕だって、ちゃんと彼女を一人前に育ててやりたいって思ってますよ」

珍しく真面目な顔をして訴えかけてきたので、これは信じてやってもいいと思った。


「……どうして私に話してくれるんです？」

そんなことまで素直に打ち明けたのは何故？

聞いてはいけない社内事情や、彩香に知られたくないこともあったはずだ。

この人、まだ何か企んでる？


私がまだ警戒しているのを見て、大城さんは肩をすくめた。

「あなたが、天野さんのことをとても心配しているようだったので。
悪いようにはしないと分かっていただきたくて。
まあ、このとおり、僕はちゃんと天野さんを大切に育てますから。
温かく見守っていてくださいね」

大人しく黙っていてくださいね、の間違いでしょ、と私は毒づく。

彩香と仲の良い私を敵に回すと厄介だと踏んだのかしら？