黒色女子を個人授業
約束ーー


あれから酒井くんとも、ろくに話をしていない。

2日前に、今日の約束の確認のメールがきたけれど、事務的な内容のやり取りだけで終わってしまった。


変な場面に出くわしちゃって、私と大城さんが付き合ってるなんて勘違いさせてしまった。

でもちゃんと説明したし、誤解は解けたよね……


ーー俺と付き合ってみる? ーー

彼の言葉に一瞬驚いてしまったけど、本人も冗談だって言ってたし。


今日だって、寂しい者同士、お互い暇だから飲みに行こうってだけで。

たぶん花にも声をかけているんだろうし。

イヴの約束っていうほど大それたものではないような。


「そんな、大した約束では……」

私が弱々しく否定すると

「こんな日に遅刻なんてしちゃダメだよ」

大城さんはもっともなことを言って、私をたしなめた。


「……お言葉に甘えて、直帰させていただきます」

「うん」

私の言葉に彼は満足そうに微笑んだ。
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