黒色女子を個人授業
約束の20時まで軽く時間を潰し、待ち合わせ場所へ向かう。

普段は会社の近くで飲むのだが、今日は良い店が見つかったからと、珍しく数駅離れた場所を指定された。

駅前の広場にはクリスマス用のイルミネーションが飾られていて、煌びやかな電飾に照らされた私の心も少しだけ明るくなった。


15分ほど遅れて、酒井くんが駅の方から小走りに向かってくるのが見えた。

「ごめん、待たせて」

「ううん、だいじょうぶ」

「仕事、なかなか抜けられなくてさ」

どうやら一人のようだ。

花が来ていないということは、今日を一緒に過ごせる良い相手でも見つかったのだろうか。

あとで聞いてみよう。


行こうか、と酒井くんは予約した店へと私を案内した。
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